1929~30年の欧米視察を通じて受けた影響を色濃く反映させたモダニズム建築が多い時期です。特に1932(昭和7)年に完成した荻窪郵便局や1938(昭和13)年に完成した東京逓信病院では、その成果をうかがい知ることができます。
逓信省から派遣されて行った視察では、まずはベルリンを足掛かりに、第二回CIAMに参加するなどしてメンデルゾーンやグロピウス、コルビュジェなど多くの建築家と交流し、その後トルコ・イタリア・南ドイツ・パリ・ロンドン・オランダなどのヨーロッパの主要都市も巡り数多くの建築を見ています。その後1か月ほどアメリカに滞在して帰国しました。
ヨーロッパでは、スイスやドイツのSiedlung(ジードルンク:集合住宅群)に力を入れて見学していたようですが、この当時日本では同潤会の青山アパートが1927(昭和2)年に完成したばかりで、不燃の中層アパートは数えるほどしかなかった時期です。将来の住宅建築の解決策として感銘を受けましたが、このチャンスを生かす機会には恵まれなかったようです。
その後、逓信関係の建物や老人ホームなども見学しており、帰国後にこの分野では力を発揮することができました。特に東京逓信病院は、これまでの病院建築に一石を投じて影響を与えたものです。