個室型多床室の提案

  個室型多床室の提案

  患者にとって病室は、治療や療養の場所であるとともに、「眠る」「くつろぐ」「食事をする」「読書をする」といった基本的生活の場であるが、これまでその環境についてはあまり改善されていないのが実情である。

  一般的な4床室では、環境の違いから窓側のベッドは歓迎され廊下側のベッドは敬遠されるが、患者には選択権は与えられていない。対人関係のわずらわしさもあり個室が好まれるが、保険診療のうえに成り立つわが国の病院では、全個室化は望むべくもない。また、多床室にはそれなりの良さが有ることも事実である。

 このような状況を踏まえ、多床室においても全てのベッドが窓に面しつつそれぞれのプライバシーを保つ、「個室型の多床室」が一般的に採用されるようになってきた。しかし、病棟が診療部門の上に載る形が一般的であることを考慮すると、このような変形病室と下階の規則正しいグリッド平面をいかに整合させるかが問題となる。本提案はスパンと雁行のピッチを調整する事でこの問題を解決し、無理の無い平面計画を可能としたものである。

「患者のプライバシーの確保」
「快適な入院生活」

を基本コンセプトに、

・4床室においても個室的な占有区間を作り出し
・すべての患者が寝たまま外の景色を眺めることができる

ようにベッドをずらしながら窓際に配置した個室型の4床室を提案する。

  なお、この平面形は、矩形のグリッドの柱配置を崩さずに雁行平面を形成することに留意し、病棟階の下の診療部などのプランニングを制約しないものであることは前述したとおりである。また、建設コストにはあまり大きな影響を与えずに、入院患者の居住性、快適性を改善することをめざした。

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  プライバシーの確保とアメニティー

ベッドをずらしながら配置するため患者同士が直接顔を見合わせることがない。

・すべての患者が自分専用の窓とコーナーを持つことができ、外の景色に気分転換もはかれる。

・採光の調整、窓の開閉による自然換気が個人個人で行える。

・通路側のカーテンを閉じれば個室的空間となる。

・患者同士のコミュニケーションも可能であり、個室の持つ孤独感、疎外感をやわらげ、また、容態急変に体しても看護婦への連絡を他の患者ができるなど、多床室の持つメリットもあわせもつ。

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  診療看護のための病室

 ベッドまわりのスペースとしては、車椅子への移乗には90p、ストレッチャーへの横付け移乗や、X線撮影には120p以上の空間が必要である。

ベッドをずらして配置してあるため、片側には比較的広いスペースが確保でき、これらの行為も無理なく行える。

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  院内感染対策として

 院内感染の面から、改めて多床室の広さやベッド間隔について論議されているが、ナイチンゲール病棟や、我が国や欧米各国の委員会などではベツド芯々の寸法は2.1〜3.0mが提案されている

 基本的には、病室の広さや部屋の容積(気積)をできるだけ大きくすることが望ましい。

・ベッド芯々間寸法を2.1〜2.3m程度確保する。

・室内に手洗い設備を設け、医師、看護婦の手洗いを励行する。

 *「病室における看護作業領域」−−−−(病院設備62年9月号)

 「ナイチンゲール病棟とその評価」−−(英国医療施設研究(2)1979年)

いずれも、東京大学工学部建築学科助教授 長澤泰博士による報告

  分散トイレの採用

・患者の自立排泄の促進

病室内程度の距離であれば歩行可能な患者の早期離床を促す。

・看護婦の負担を軽減する。

・音や臭気については充分配慮する。

  診療報酬について

 この、個室型多床室は、療養型病床群における病室の広さの規定(6.4u/床)を、充分クリアするものであり、診療報酬の加算が可能となる。病院経営上のメリットも見逃せない。


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Yamada Mamoru Architects,Engineers & Consultants,INC